さいとうさんのブログ記事

死人のような生活

  • 2019年03月26日

禁パチ生活一日目。

さすがに今日は行かないと思うが、念のため銀行のカードは自宅に置いていくことにする。あのカードがあると、どうしてか、「一万円だけ、負けたらすぐに帰ろう」なんて自分に言い聞かせて、ついパチンコへ行ってしまう。

いつもいつも、本当に、負けたら帰ろうと思っている。店に入って、じっくりと台を選んで、札を入れて、ハンドルを回して、最初の五百円分かそこらがなくなるときまでは、「負けたら帰るぞ」と思っているのだ。

しかし、どういうわけか、五千円を過ぎたあたりから、そんなことは忘れてしまう。まず、回らないのだ。千円で十回転も回らないときもあり、予定では一万円で百九十回転はいくはずだったのに、百五十回転ほどしかいかない。

それも、大当たりの予感なんてちっともせず、ただひたすらリーチとハズレの繰り返しだけ。そして、一万円が終わりそうになると、期待したくなるような大きめのリーチがきて、でも、外れる。

当たりそうになって外れると、「もう少し回せば当たるんじゃないか」と、そんな考えが頭によぎり、やめればいいのに、台にたばこを置いて、近くのコンビニまで向かっている。

早足で行って、ささっと一万円を下ろして、戻ってくる。早くしないと当たりが逃げちゃう、なんて、くだらない不安を抱きながら、ささっと台に座り、店に入る前に決めていた、「負けたらすぐに帰る」なんていう約束もどこかへ行ってしまっていて、下ろしたばかりの一万円を、そのお金があれば美味しい食事も旅行も新しい服もスニーカーも買えるのに、一玉四円の銀玉に換えてしまう。

カードというものは、実に恐ろしい。

パチンコを本気でやめようと考えたとき、ぼくはまず、銀行のカードをちょんぎる。文字通り、ハサミでちょんぎるのだ。そうすれば、お金を下すことができなくなる。給料はそのカードに振り込まれるから、もうどうすることもできない。行きたいと思っても、行くための資金がない。

生活はどうするのかというと、これがまた面倒なのだが、お金の入っている銀行口座から、べつの銀行口座のカードに、ネットバンクで振り込みをする。一回で数千円とか、多くても一万円、必要な金額だけを振り込む。

そうすると行かないという意思を保つことができる。万が一行ってしまっても、痛手は少ない。何度もATMに行って下してくる、なんてことができなくなる。ぼくはもうこの戦法を何度もやっている。そう、何度もやっているのだ。

この方法のいい点は、お金を簡単に下すことができなくなること。土日は振り込みができないから、金曜日の午後三時を過ぎると、振り込まれるのは月曜の朝になる。土日は特に「パチンコに行きたい」という衝動が強くなりがちだから、銀行のシステムをついた、いい方法だと思っている。

それに、これまでパチンコのために金を振り込む、といったことはしたことがない。必要だからという理由で三万とか四万を振り込んで、その金でパチンコをしたことはあるが、「明日はパチンコに行くから四万円を振り込もう」とは、どうしてもならなかった。

だから、じつにいい方法だと思うのだが、決定的な問題がある。カードの再発行が、簡単にできてしまうのだ。

悲しいかな、カードの再発行というものは、簡単にできる。なので、カードを破っても切り刻んでも煮ても焼いても、遅かれ早かれ再発行をしてしまう。そして、新しいカードが手元に届くと、きれいなカードがなんだか嬉しく、湯水のごとく万札をつかってしまう。何度も何度もATMへと向かい、気がつけば五万も六万もすっている。これが、問題といえば問題だ。

自宅に置いて家を出ても、はたしてどれだけの効果があるのかわからない。かつて同じ方法を試したこともあるが、家に帰ってきて、カードを持って、そのままパチンコ屋へ向かったこともある。そのときも、「一万円だけ」と自分に嘘をつき、最低でも二、三万は使ったはずだ。もちろん、負けた。

要は、意思の問題なのだろう。絶対に行かないという断固とした決意があれば、カードが自宅にあろうと財布にあろうと、現金で二百万持っていようとなんだろうと、絶対に行かないのだ。

逆に、その決意がもろく、自分に甘ければ、カードが自宅にあろうと、この地球上からなかろうと、再発行ができなかろうと、現金が十四円しかなかろうと、どうにかしてパチンコに行く資金をつくるだろう。

じっさい、クレジットカードのキャッシング機能をつかって、何度か行ってしまったこともある。ただ、キャッシングを使ったときはさすがに強くなり、後日クレジットカードのキャッシング機能を停止させた。キャッシングなんて、ないほうがいい。

「もしものために」なんていう考えは、絶対によすべきだ。もしものときに現金が必要になったら、そのときに考えればいい。クレジットカードのキャッシングと、カードローンのキャッシングは、絶対にやってはいけない。

こうやって冷静に振り返ってみれば、明日のぼくは新宿のエスパスには向かわず、まっすぐ自宅に帰ってこれそうだ。問題は自宅に帰り、何をするかなのだが、それは明日考えることにする。とにかく今は、「絶対に、絶対に二度と、二度と行かない」という強い意志を保つことだ。カードは自宅に。財布には、二千円だけ
 

コメント


さいとうさん(^-^)
はじめまして!
全部わかってらっしゃる( ^ω^ )
それでもやめられないのが依存症…
応援してますo(^o^)o

  • さん
  • 2019年03月26日

いつでも止められる
自分もそう考えていました
だけどね 出来ませんでした
これが現実

こんにちは
自分の事の様に読ませて頂きました
ありがとうございます
現実見てヘンテコな夢物語は
見ない様にしたいものですね


たまにちょっと勝つのがとてもタチが悪いです。必ず後でその数倍負けます。麻薬なのです。だから負けを取り返す云々ではなく今この瞬間をもってきっぱりやめる以外に方法はないのです。すみません半分は自分への檄でした。

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